ファクタリング 2018.08.07

ファクタリングと借入

ファクタリングを利用していても融資は受けられるのか?

ファクタリングの利用を検討する方から、審査条件や買い取り金額、手数料などのほか、不安の声を聞くことが多いことがあります。

それは「ファクタリングを利用すると、銀行等からの融資が受けられなくなるのでは」ということです。銀行やノンバンクから融資を受ける際、信用状況の審査を行いますが、ファクタリングの利用をしていることで、その審査に影響するかどうかは気になります。

そこで、ファクタリングの基礎をおさらいしながら、この疑問に答えていきましょう。

ファクタリングと信用情報機関の関係

結論から先に言うと、ファクタリングを利用していても他社の融資には影響しません。なぜなら、ファクタリングは借入ではなく、売掛債権の売買取引だからです。

銀行融資、ビジネスローンなどの審査で、最も重視される条件の一つに「他社の借り入れ」があります。金融機関は融資申し込みを行った個人・法人について融資の可否や金額、利息などを決定するため、過去に利用した融資の借入残高、滞納状況などを調査します。

その際利用するのが、割賦販売法・貸金業法指定信用情報機関(CIC)、日本信用情報機構(JICC)、全国銀行協会(JBA)等、金融各社が加盟している団体のデータベース。自社だけではなく、他社を含め、融資の履歴を調べています。

なお、信用調査の話題でよく使われる「ブラックリスト」という言葉は、正式な定義はありませんが、これら信用情報で、滞納など過去にマイナスの大きな事実が記載されていることをいいます。

ファクタリングは、売掛債権を売却しているのであり、融資を受けているわけではありません。そのため、融資の履歴が記載される信用情報機関の情報には反映されません。これは2社間ファクタリングでも、3社間ファクタリングでも同様です。

ただし、広義にファクタリングの中には、売掛債権を担保にした借入(ABL)を含めることがあります。その場合は融資を受けていることになりますので、信用情報には反映されると考えられます。

キャッシュフローが改善することも

さて、信用情報機関の情報に影響を及ぼさないファクタリングですが、資金繰りが苦しいためにファクタリングを利用していることが知れると、印象としてプラスではないとはいえないとはいえるかもしれません。

ただし、これも必ずしもマイナスとは言えない側面もあります。金融機関は、売掛金が大量にたまっている会社にあまり良い印象を持ちません。売掛金が多い会社は、キャッシュが足りなくなりやすい傾向があるからです。また、たまった売掛金が回収不能なのではないか、と疑われることもあります。

ファクタリングを利用することにより、売掛が即時にキャッシュに転換します。これは、キャッシュフロー改善のためのお手軽な手段になりえます。上手に使えば、金融機関に対し、良い印象を与える側面もあるのです。

ファクタリングと融資を使い分ける

ファクタリングは、短期のつなぎ資金の調達に便利な手法。同様の目的で利用されるビジネスローンなどと比べ、それぞれメリットデメリットがありますが、中でも、信用情報が変わらず、融資審査に悪影響が及びにくいことはファクタリングの大きなメリットです。

たとえば、銀行借り入れによる大きな資金調達を予定している途中で、急な短期資金が必要な場合。こういった、ほかのローンをどうしても使いたくはない時に、ファクタリングで資金調達することが考えられるでしょう。

新しい資金調達方法を持つことは、経営、事業展開の選択肢を増やすことでもあります。既存のローンの手法と併用し、使い分けられるようにしておくとよいでしょう。