手形担保融資 2018.07.22

手形担保融資とは?

スピード感が魅力の資金調達 手形担保融資とは?

企業が行う取引に、よく利用される決済手段の一つに、手形(約束手形)があります。

企業間の支払いをスムーズに行うために、手形は利便性が高いものですが、もうひとつ、手形の重要な役割として、手形を振り出して現金を調達することが挙げられます。それが手形を担保にしてお金を借りる、「手形担保融資」です。

ここでは、手形担保融資の特徴とメリット、デメリット等について、手形の基礎知識を説明しながら解説します。

手形取引と割引の基礎知識

まず、手形取引の基本をおさらいしてみましょう

企業が、何らかの支払いを行う際、現金等の代わりに手形を振り出すことがあります。手形には、金額と振出日、支払期日、金融機関の名前が記載されています。この場合、その手形は「手形の所持人に、〇銀行が、〇日に、〇円を支払います」という証書となります。手形の受取人は、期日に指定の銀行に手形を持ち込むことで、現金を受け取ることができます。

また、手形は支払期日が来ていなくても、第三者に譲渡することで、現金化できるのも特徴。です。これを手形割引といいます。銀行あるいはノンバンク企業では、手形割引のサービスを行っており、手形に記載された額面から、振出人の信用などにより計算される割引料を差し引いた金額を手にすることができます。

手形の振出は、手元にキャッシュがなくても支払いができ、実質的に支払いを伸ばすことができます。受け取った側も、銀行を通して比較的安心して決済をすることができ、かつ、すぐに現金が必要な場合も、割引により柔軟に現金化できます。その利便性が、多くの企業で手形が使われる理由といえるでしょう。 

手形を振り出して現金調達する方法

手形担保融資(手形貸付)は、この手形を担保に融資を受ける方法です。

手形取引では、手形を振り出すことで商品等を購入しますが、手形担保融資では、金融機関に対し手形を直接振り出し、融資を受けます。この場合、振り出した手形は担保という形になります。そして、手形の振出人、つまり債務者は、支払期日までに、利息を含めた金額を返済し、担保に入れた手形を手元に戻します。

手形担保融資のメリットはスピード。振出人に信用があれば、詳細な契約書を作ったり、物的な担保を用意しなくても、すぐに資金調達が可能となります。金融機関に信用がある場合、一定の枠で何度でも手形貸付を受けられるようになることも多く、つなぎ資金や納税資金など、短期資金を調達するために頻繁に利用している会社も多くあります。

手形担保融資のサービスは、銀行のほか、数多くのノンバンクでも提供されています。ノンバンクでは、銀行では引き受けてもらえない、比較的信用の低い手形であっても融資を受けられることがあります。ただし、銀行の融資よりも利息が高い傾向があるため注意が必要。利用の際は、利息、返済期間など、諸条件をよく比較したいところです。

手形担保融資の利用は計画的に

簡便な資金調達方法として利用される手形担保融資ですが、安易な利用は禁物です。手形担保融資で振り出される手形のサイトは、数か月後のものがほとんどであり、その短期間の間にキャッシュを確保し、返済しなければ、あっという間に危機に陥ることになります。債権者の判断にもよりますが、最悪の場合、手形が不渡りになり、銀行取引が停止してしまう恐れがあります。

もちろん、手形担保融資に限った話ではありませんが、融資は契約内容を理解し、返済計画をもとに利用するのが最も大切なことです。より長期で、利息など良い条件で資金調達する方法がないのか、しっかり検討したうえで手形貸付を利用しましょう。

また、手形担保融資を行う業者も様々で、中には悪質な業者もあります。許可等の法令を遵守した金融業者を選ぶことはもちろん、利息やサービス内容をよく比較して、少しでも有利で、安心できるところに依頼したいところです。