はじめての資金調達
資金調達といえば、銀行などの金融機関からの融資を思い浮かべるのが一般的です。しかしながら、事業を始めたばかりの中小企業や個人事業主にすぐに融資をしてくれるほど、金融機関は甘くはないのです。一方で、創業したばかりの企業を支援する公的融資など、取引している金融機関からの借り入れ以外にも様々な資金調達の方法があるのです。それでは、実際にどのような資金調達方法があるのか見ていきましょう。
日本政策金融公庫や都道府県の公的融資
創業したばかりの企業や個人事業主が、最初に考えたい資金調達方法は、日本政策金融公庫か各都道府県の「創業向け制度融資制度」です。これは新しく事業を始めた人を支援するための公的融資なのです。
この制度を利用する際に注意したいのが、「いかに説得力のある事業計画を作成するか」です。創業当初はまだ売上実績が乏しい状況のため、将来にわたってどのように利益を出して、融資した資金を返済していくかを説得力のある数字をもって、相手に納得させるかが重要なのです。また、この制度を利用する時は自己資金の準備も大変重要になり、中には自己資金の2倍や3倍といった基準で融資上限を決めている金融機関もあるのです。金融機関に「自己資金もないのに、勢いで独立したのでは?」と疑われる
こともあるので、自己資金をしっかり貯めておく必要があるのです。
設備投資のための融資
設備投資は会社にとっても新たな売上アップ、製品の向上・業務効率を図る上で必要不可欠な投資です。投資する設備の大きさにもよりますが、最低でも1年以上、場合によっては20年程度の長期間の借入れになることもあります。そのため、しっかりとした事業計画書や、返済計画書を作成する必要があります。
基本的な考え方として、設備投資の借入金の返済は、借入金により購入した設備から生まれてくる利益や減価償却費から捻出していく事が望ましいです。そのため金融機関に対してそのことを事業計画書と返済計画書をもって、しっかりと理解してもらう必要があります。
つまり金融機関としても根拠が明確でない融資を行うことができないということなのです。
まずは、自社の「資金繰り表」や「売上推移表」などをしっかりと作成して、金融機関に提出することが必要不可欠なのです
金融機関からの運転資金融資
「月末の資金が足りなくなりそうだから、金融機関から運転資金の融資をお願いしよう」などという場合に重要なことは、融資を希望する金額の根拠が明確かということです。たとえば、従業員の給与や仕入、経費などの支払に必要な資金なのか、赤字や不良債権の補填なのか、売掛金の入金までの一時的な資金不足の補填なのか、賞与や納税などのためなのかなど、その根拠と融資を希望する金額に矛盾が生じていては、金融機関も融資を行うことが難しいでしょう。きっちりと運転資金の融資を受けるためには、自社の資金繰り表や売上推移表などもしっかりと作成し、金融機関に提出する必要があります。また金融機関の融資には、審査や決済など短くても2〜3週間かかることがあり、時間的に余裕を持って融資を申し込むことが必要です。
ノンバンクの法人向け融資
時間的な問題や、自社の融資枠の関係で金融機関からの借入れが難しいケースもあります。この場合は、ノンバンクの法人向け融資やビジネスカードローンを利用する方法もあります。こちらは保証人や担保が原則不要であり、金融機関と比べて審査や融資の実行が早いというメリットがある反面、金利が高い、融資限度額が低いというデメリットもあります。また、ノンバンクの場合も決算書や事業計画書を準備する必要があり、それらをきっちり説明できないと融資を受けることが難しいでしょう。
ファクタリングの利用
取引先に請求した売上(売掛金)がありながら、その入金までの支払いができそうにないようなケースでは、ファクタリングの活用も有効です。ファクタリングは取引先の請求書を、ファクタリング業者に一定の手数料を差し引いて売却するもので、経済産業省など国も認める資金調達方法です。しかも、あくまで債権売買の取引であるため、借入金には該当せず金融機関の融資枠にも影響することはないのです。さらに最短で即日で現金化できることもメリットであり、急な支出が必要になったときに有効な資金調達方法といえるでしょう。
資金調達方法には、金融機関からの融資以外にもさまざまなものがあります。調達を行う目的や、資金が必要なタイミングを考えながら、複数の方法を組み合わせて資金調達を行うことも有効な手段といえるでしょう